第2章 新しい景色達
私は下へ降りて、自室で手早く一枚の手紙を書く。あったことと、今日買ったものについて、それと色合いの似た布で縫い付けておいたあの元穴あきジャージも袋に入れる。それに買っておいた鯖缶一缶。猫かよと自分にツッコミを入れたが、少しでも喜ぶならという思いからだ。
全て入れたスポーツ用品店の袋をそっと彼の部屋のドアにかけておいた。
***
なかなか溝は埋まらない。鯖缶をいくら送ろうとも、なんだかダメな気がする。
はぁ。勢いに任せて怒鳴りなんてしなければ。
台所に行く。水を飲んで、もう寝よう。明日からはまたプールだ。
台所の電気をつけて、食器から自分用のコップを出す。ふと、気がついたことがあった。
(あれ)
いつもは片付いている彼の食器が、今日は片付いていない。前に一度、こうして夜に台所へ来たことがあったが、その時は片付いていた。朝も食事の片付けは必ずしていた気がする。意外と几帳面だなと思ったものだ。
(あ・・・)
いつかのワイドショーで未婚の男性俳優が言っていた気がする。
"女性に食器は触らせたく無い。自分の好きな洗い方ができないから。"
もしそのこだわりに背いたら・・・益々悪化しそうだ。
いやいやと首を振る。幾ら何でも臆病すぎだ。皿を洗うくらい、別に・・・。
しかし私はその皿たちを異常なまでに入念に洗った。もうキュ○ュットくんがチョチョイノチョイでええんやで!って突っ込むくらいには念入りにやったと思う。
終わった頃には、既に1時位にはなっていたと思う。げっそりしながら、私は居間で倒れ込んだ。
***
ーチュンチュン。
「朝チュンだと・・・!?」
なんとまぁ小鳥のさえずりで目覚める日が来ようとはー・・・。
バッと時計を見る。
「ファーーーーー」
そう、やはり彼は起こしてはくれなかった。
くっそぉぉおおおお七瀬ぇぇぇええええ!!!!!!!!!
掛け布団を吹っ飛ばしー・・・・
え?掛け布団?
私は昨日、皿をキュッキュして、そのまま気疲れとかまぁ色々でそのままぶっ倒れて・・・掛け布団なんて・・・。
とすると、考えうることは一つだ。
あ、私昨日の夜相当寒かったんだなぁ。無意識下に掛け布団を・・・。