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【ヘタリア】周波数0325【APH】

第46章 “計画された犠牲”


操作盤のすぐそばに倒れていた、さっきまで靄だった“香くん”が、ゆっくりと体を起こす。

長い夢から覚めたように、ぱちぱちと目をしばたいている。

瞳からは濁りが消え、いつものように澄んでいた。

「まったく、お前らは本当にムチャばっかりあるね」

他愛ない小言を言うような口ぶりで、耀は香くんに肩を貸した。

抱き起こされる香くんは、なにがなんだかわかっていない顔だ。

「けど、よくやったある!」

ぱっと明かりを灯すような笑みは、突き抜けるような蒼天によく映えていて。

どこまでも優しくて、安心させるその笑顔に、頭のどこかで激しいサイレンが鳴り始めた。

どうしてここにいるの、とか、なぜパスワードを知っているの、とか。





――なんで、”透けてるの”、とか。





そんな問いに答える時間は、誰にも与えられていなくて。

「……行っちゃ、ダメです」

無意識に、耀の手をとっていた。

耀は少し驚くような表情を見せたあと、フッと微笑む。

ワガママを言われて困っているような、そんな笑み。

――視界に、きらきらした光の粒子が舞い始めた。

”それ“は耀から出ていて、きらきらが溢れるほど耀の体は見えなくなっていって、





「……我の弟たちのこと、頼んだあるよ」





あたたかな声を最後に、光の粒子だけが世界に残された。

中空を舞うきらきらした瞬きは、やがて空気に溶けるように見えなくなった。
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