第37章 もう1人の赤
(征ちゃん、今までと雰囲気がまるで違う…… この人は……)
『……あなたは誰ですか?』
赤「友香、何を言っているんだい?僕は赤司征十郎に決まっているだろう」
『違う……あなたは“征ちゃん”じゃない』
赤「そう、君の言う“征ちゃん”ではない。元から僕は2人いて、それが入れ替わっただけだ」
『…………‼︎‼︎』
(初めて征ちゃんに出会って目を見たとき感じた違和感がやっと分かった)
赤「あまり驚いていないようだね」
『初めて“征ちゃん”に会ったとき、目を見て違和感があったの…。優しさと同じぐらいの冷たさを感じる目……。あなた…だったんですね』
赤「クスッ、やっと君の前に現れることができた。君は僕のモノだ」
『あなたのモノになった覚えはありません‼︎』
赤「僕の言うことは絶対だ」
そう言って“赤司君”は私の腕を引っ張り抱き寄せて、無理やり唇を合わせる
『んっ……⁉︎ ……っ…やめてっ‼︎‼︎』
私は“赤司君”の胸をドンッと押して離れる
赤「どうして嫌がるんだい? 君は僕の“居場所”になってくれるんだろう?」
『………っ‼︎‼︎ それは“征ちゃん”の……』
赤「君の言う“征ちゃん”と僕は同じ赤司征十郎だ」
『……そう…ですけど……でもっ』
と私が言い終える前にまた“赤司君”に抱き寄せられ、今度はさっきよりも強く抱きしめられる
そして“赤司君”は私の耳元でこう囁いた
赤「僕はずっと君を見てきたんだ。必ず僕のモノにするよ、友香……」
『………っ』
その後、“赤司君”に解放された私は放心状態で体育館を後にした
赤(やっと君を僕のモノにできる。
友香は誰にも渡さない)
このもう少し後、黒子が1人で帰ってくることになる
黒子は友香と同じく、変わり果てた赤司を前に放心状態で体育館を後にするのだった