第7章 そんなに恥ずかしい?
「テストどうだった?」
彼が私に尋ねる。
え?また?しかも今?
「まあまあかな」
私はさっきと同じ答えをする。
「そっか」
彼はうつむいたままちょっと微笑む。
手は腰の辺りに移動してる。
「逢坂くんはどうだった?」
私も質問してみる。彼はちょっと手を止めて考える。
「普通かな」
私の顔を見てちょっと微笑む。
「普通って結構できたってこと?」
突っ込んで聞いてみる。
「ううん。普通」
「ふーん」
「背中を洗ってあげる。後ろ向いて」
「うん」
後ろ向いてると恥ずかしさはマシだし、しゃべったら少し落ち着いてきた気もする。
彼が背中を洗ってくれる。
「綺麗な背中」
彼がほめてくれる。
「いいよ、いちいちほめないで」
私はちょっと笑っちゃう。
「いや、本当に」
彼の言葉に恥ずかしくなるけど…うれしい。
「ゆめちゃん、将来の夢は?」
え?今聞く?
「わたしゲームが好きだからゲームを作る会社で働きたいな」
「そう…」
「逢坂くんは小説家だよね」
「うん、まあ…そうだけど…。
それはなかなか上手くいかないだろうし、教職課程を取って国語の教師にでもなるかな」
「…ふーん」
脚の付け根辺りを石けんの付いた彼の指がつるつるすべる。
「ふふっ、くすぐったい」
私が笑いながらそう言うと彼もちょっと笑う。
「ふふ…そうなんだ」
「そうだよ。やってあげようか?」
私は彼の身体に手を伸ばす。
「いやいいよ…ふふ」
彼が楽しそうに笑う。
私もちょっと…楽しいかな。