第2章 運命は残酷で
リヴァイはリアを横抱きにしたまま馬小屋前に来ていた。
「馬に乗るんですか?」
リヴァイの肩にしがみついたままリアがリヴァイの顔を見る。
「馬に乗らねぇとこのままはキツイだろ。」
「私馬は初めてです!」
リアはリヴァイの頭をペチペチと叩いてはしゃいでいる。
「馬を出す間降ろすぞ。」
リヴァイはそう言ってリアを木陰に降ろすと、自分の馬のそばまで行って馬を撫でる。
「馬って…きっと人を見てますよね。すごく嬉しそう。」
馬はリヴァイに撫でられ、目をつむり、小さく鳴いている。
「コイツがいないと俺は壁外で何度も死んでいた。コイツは恩人であり信頼できる仲間だからな。」
「私にも…仲間が、信頼できる友ができるでしょうか。」
リヴァイは手を止めてリアを見る。
「私は…家族の記憶が殆どありませんし、あるのは酷いものばかりです。だから小さい時からの孤独に慣れちゃってて…。ここでは団長達が優しくしてくれてますが、名前すら知らない方が殆どなんです。当たり前ですよね、部屋から出ないんですから。」
リアの自虐的な笑みに、リヴァイはリアの前にしゃがみ、俯いた頭を撫でる。
「んなもんこれから作りゃいいだろ。出来なかったら…あれだ。俺がなってやる。記憶だってこれから作っていきゃいいだろ。俺がてめえの記憶をいっぱいにしてやるよ。」
リアの目頭に雫が溜まっていく。
行くぞ。
リヴァイはそう言って再びリアを抱きかかえ、馬に乗せた。
リヴァイの後ろにリアが横に足を出して座り、リヴァイの腰に手をまわす。
馬はゆっくりと歩き出した。