第31章 第51層~第60層 その3 "白い悪魔"
声のした方向からジン、そしてあのメティスという少女であった
「何だ、お前らも奴を追ってんのか?」
「追ってるのはコイツだけだ。ったくこの馬鹿と来たら」
辟易するジンを横目にメティスが私達へ迫った
「アイツは……あの白い奴はそこだろ?」
「そうだけど、行ってどうするの?」
「決まってる。姉さんの仇を取るんだ」
当然過ぎてむしろ食ってかかるようにも思える返答
正直嫌な予感しかしない
「止めたって無駄だから。誰が何と言おうと、私は行くよ」
「……どうなっても知らないから」
もういい――面倒臭い
ただそれだけ言って私は道を譲った
直後、メティスは真っ直ぐにフィールドへ駆けて行った
「チッ、お前もあの野郎も……」
ジンが何か言いたげなボヤきを吐きながら後へ続いた
無視すれば良いのに、どうしてわざわざ――
「オイ、行くぞ」
更にトーマまでこんな事を言い出した
「ふざけないで。私はそこまで深入りする気なんて――」
「ハッ、白い白い言われて図星付かれてイライラしてるだけだろ? んな事一々気にするなら目の前の面白そうな事が奴に取られるかもしれねぇってのが大事だっつの」
言いながら私の襟首を掴んでフィールドへ引っ張っていく
「触んないで、ぶちのめすよ」
「あぁあぁ、うるせぇ。さっさと追いかけんぞ」
話を聞かない馬鹿
奴のお陰で私もフィールドへ入る事となった