第1章 1
「突然店長呼んでどうするつもりなんですか」
「まぁまぁ、レディ。おとなしくしてて」
神宮寺レンの考えることはよくわからない。
いいことでなぜ店長が関わるのか。
「うん?レンくん、どうかした?」
店長がリペア台からこちらを覗く。
「この後すぐに、子羊ちゃんをデートに連れて行ってもいいですか?一緒にリガチャーとリードを選んでもらったお礼がしたくて」
「えー!レン、抜け駆けー!?ずるいー!」
音也が店長の横で何か言っている。
「私、今日は閉店までずっとなんですが」
そう文句をぶつけるが、聞こえないなぁ、と苦笑いをされた。
「うーん…そうなると僕一人でお店回さいけないのかぁ…。ちょっと大変だなぁ…」
「人が少ない店なんだから、店長をあんまり困らせないでくれますか?」
神宮寺レンにそう文句をぶつけ、商品を袋に詰めて、口をテープでとめる。
この神宮寺レンとかいう人物は本当に困った人だ。
だいたい許可されるわけがない。お店が回らないからだ。
「うん。レンくん、いいよ」