第11章 白の温もり
数日経ち、今日は憂太と出掛ける日。
憂太はホテルの予約をしており、寮を出る直前に、私の耳元に唇を寄せた。
「初めては、何も気にせずに気持ちよくなって欲しい。痛くしちゃうかもしれないし、他に気を取られたくない」
軽く耳に唇が触れて離れていく。
――やっぱり、憂太は今日、する気だ。
今度こそは大丈夫。出来る。
白く染まった街に、肌を刺す冷たい風に、肩を竦めた。
繋いでいる手は温かくて、そこから熱が伝わっていく。
「寒いね。温かい飲み物でも買う?」
コクッと頷くと憂太は、近くのコンビニに入った。
私はホットココアを頼み、憂太はカフェラテを選んだ。
公園のベンチの座って、沈黙の中飲んだ。
お互いあまり口を開くことはなく、街の音だけが響く。
2人共意識しすぎて、いつもよりぎこちない。
それでも、恐怖はなかった。
憂太は、私が少しでも痛がったり拒んだりしたら、やめてくれる。
憂太が優しいことを、私は誰よりも知っている。
空を見上げた憂太は、呟くように言葉を紡いでいく。
「入学式から1週間も経ってなかったかな……みんな見て見ぬフリの、僕への嫌がらせ。それをなんの躊躇もなく助けてくれたよね。その時から千景が好きだよ」
そんなことあったような、なかったような……。
あまり覚えてないや。
そんな前から思ってくれてる憂太の手を握って、少し空けていた距離をゼロにした。
「私は……こっちに来て、憂太がどうなったのか、ずっと気になってた。憂太のことを考えてるうちに、いつ間にか好きになってたよ」