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約束の行方【御幸一也】長編

第7章 約束の結末


「うん」
「もし、悪化しそうなら無理やりにでも引っ込めてやるからな」
「縄でも用意しとくか」
「それ、いいかもな!」

2人の雰囲気に
徐々に胸が軽くなる。

「……ありがとう」

小さく零した言葉。

「気にすんな」

そう言って倉持くんは片手をあげる。

白州くんも静かに頷いた。

まだ全ての不安がなくなったわけじゃない

けど――

今はチームを信じて、私にできることをやるだけ。

「……帰るか」

倉持くんの声に
私達は静かに立ち上がった。

センバツまでの切符は
もうすぐ目の前だった。

――翌朝。

まだ空気の冷たい早朝。

ピンポーン……

1つのチャイムの音が鳴り響いた。

玄関を開けると、
目をこすりながら欠伸をしている御幸がいた。

「おはよ」

そう短く挨拶を交わして部屋に入れる。

「じゃあ、脱いで」

着いてそうそう、私は御幸にそう言った。

「へ……?」

まだ半分寝ぼけてる御幸の眼鏡を外して、
上の服を脱いでもらった。

パッと見、痣や腫れなどはない。

御幸に痛む向きや動きを確認しながらテーピングをする。

「へー……上手いもんだな」

私の動きに御幸が感嘆の声を出す。

「あれ?知らなかったっけ?」
「なにが?」
「うちの親、理学療法士」
「はぁ?初耳!」

御幸は驚きで立ち上がった。

しかし、すぐにうずくまる

「っ……!」

「ちょ、まだ急に動かないの!」

支えるために伸ばした手に御幸が応えて
ゆっくり立ち上がると

「へへへ」

と御幸は小さく笑った。

「けど、全然マシになった」

そう言って、テーピングした所を触る御幸

「ありがとな」

その言葉に
張っていた気が少しだけ抜ける。

「……どういたしまして」

これで痛みが消えるわけじゃない

それでも
少しでも動きやすくなれば……

「でも、無茶したら意味ないからね」

釘を刺すように言うと
御幸は苦笑した。

「わーってるよ」

……絶対わかってない顔だ。

私がじとっと睨むと
御幸は視線を逸らしながら小さく笑う

「そんな顔すんなって」
「そんな顔って、させてんのは誰だろうね」
「俺?」
「わかってて言わないでよ」

軽口を叩き合う。

なのに、
どこか空気は静かだった。

これから始まる戦いを
お互いちゃんと分かっているから。

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