第2章 出会い
しばらく歩いたあと
みかは、ふと視線を上げる。
「あの船……」
言い切らないまま、視線だけが残る。
港の奥に停まっている、大きな船
見慣れない形
「気になるか?」
軽く聞く
「……少し」
その答えに、サンジは小さく笑った
「サンジさんの船なんですか?」
「いや」
「おれのっていうより、仲間の船だな」
小さく頷く
それ以上は聞かない。
でも視線はあの大きな船
ちょうど昼を回った頃で、少しだけお腹も空いていた。
サンジはそれに気づいたように、肩をすくめる。
「せっかくだ」
「レディに一品振る舞わせてくれよ」
軽い言い方。
でも、ただの誘いじゃない。
知らない人の船。
知らない場所。
ほんの少しだけ考える。
それでも
「……いいんですか?」
「いいに決まってるだろ」
即答だった。
サンジはもう歩き出している。
振り返らない
その背中を見る
迷いは、まだ少しだけ残っている
でも。
小さく息を吐いて、足を踏み出す。
「……サンジさんの料理、楽しみです」
ぽつりと落ちる。
サンジの足が、ほんの一瞬だけ止まりかけた
「任せとけ」
軽く返す
小さく息を吐いて、一歩踏み出す。
サンジは振り返らないまま、少しだけ歩幅を緩める
船に近づくにつれて、空気が少し変わる
港の音が、遠くなる
代わりに、笑い声が近づいてくる
知らない世界の音だった。
みかは、もう一度だけ船を見上げた
そのまま足を止めずに進んだ。