第2章 迷宮のダンジョン
大学はサボる、レポートは出さない、飲むと変な絡み方してたまにウザい時がある。
交友関係も決して良好と言えないのは、特に女絡みが大半を占めてるせいだ。こないだなんて食堂で派手な女の人から張り手くらってたし。
何やったか知らないけどだいたい想像はつく。そんな人が?あたしの先生?になるの?それって大丈夫なの?
「大丈夫だよ、天下の太刀川さんだから」
は?天下の太刀川さんってなんだよそれ。あたしの頭の中を見透かしたみたいなタイミングで言葉を発した迅さんに、今度は頭の中で盛大につっこんだ。
「花衣ちゃんさっき風間さんに反応してたでしょ」
「風間、さん?……あ、あの3位の人」
「うん、見ててどうだった?」
「どうって言われても分からないですけど、他の人とは全然違うなって思って、素直に凄いって」
「だよね。でもその風間さんより凄いのがこの人」
「………ん?」
気のせいかな。今まで視線を合わせて話してた迅さんが、どっからどう見てもあたしの隣にズラした気がする。
太刀川さんを見ると、さっきより大きく見える態度はそれこそ気のせいなんかじゃない。ソファーにふんぞり返って、もっと褒め称えろとばかりな表情を惜しげもなく晒してた。
マジですか。レポート出さないのに?出席率やばいのに?酒癖も女癖も悪いのに?マジですか。
「正式入隊までもう日にちないから早速明日から頑張ってね」
前途多難、いろんな意味で。
口角の上がった迅さんの綺麗すぎる笑顔に、なんでか背筋が凍りそうになった。