第4章 感情線の混線
巨大モニターに映った知ってる名前。
緑川が4勝。
望月が4勝。
10本中、8戦目にしてほぼ互角のやり合いは、望月が首をはねられた形で終了となった。
あと2本。
これを取れば、念願の昇格だ。
「やっぱ似てるよなー」
「なにが」
「こないだ手合わせした時、花衣ちゃんが一瞬太刀川さんに見えた」
「俺はあんなちんちくりんじゃねーぞ」
それに、すばしっこさならアイツのほうが上だ。
すばしっこさだけ、ならな。
9本目、転送された瞬間、間合いを詰める望月のどこか嬉しそうな表情を、並んで座って見ている迅が、強くなったな、なんて独り言のように呟いた。
緑川と肩を並べ、訓練生の中では今じゃ向かうところ敵なし状態。この1週間、ランク戦にのめり込みすぎて、日に日にやつれる姿は同情よりも腹を抱えて笑いたくなるほど酷かった。
瞼の下には隈を携え、元々そんなに濃くない化粧は3日を過ぎたあたりから、ぴたりと止まった。聞けば乗せても塗り潰しても消えないふきでものや肌トラブルに、使ってやるほどあたしは甘くないと、独特の感性。
じゃあお前は何のために毎日毎日時間を使って顔を作ってんだ?そういうのを隠すのも化粧の醍醐味なんじゃねーの?とは言わなかったが。自分の感情に忠実に従って、指までさして笑ってやれば、誰のせいだと思ってるんだと、ごもっともな激昂が返ってきたのはつい数日前の出来事だ。
誰のせいって。
俺のせいではないことは確か。
十中八九、隣で、お、取った、次で決まるな。呑気に観戦しているコイツのせいだろ。