第4章 感情線の混線
「すいませんでした!!」
「……うるせぇ」
昨日と同じ位置。
ラウンジの、時計の下のソファー。
浅く腰掛けて、眉間のシワも全部同じで、思わずデジャヴじゃないのと錯覚してしまう。どこぞの体育会系なお兄さんもびっくりなほど、90度に折った上半身と、意外に大きく出てしまった声は不可抗力だ。
そっと上体を起こして顔を伺えば、がしがしと頭を掻いた影浦くんが心底めんどくさそうな表情で舌を打った。
「んなとこ突っ立って目障りなんだよ」
「ご、ごめん、もう消えるか、」
「話してぇんならこっちで話せ」
「え」
「座れっつってんだよバカかおめえは」
あれだけ罵っておいて、一言二言の謝罪で許してもらおうなんて思ってなかった。だから目障りだと言われるのも当然っちゃ当然で。顔も見たくないんだとそう解釈したら、あたしの言葉を遮ってまで、力任せにバンバンと自分の隣のソファーを叩く。
一瞬頭がフリーズしたけど、状況を飲み込むと途端に気が抜けて、腰も抜けそうになって慌てて座った。だって怖いんだもの、この人。そりゃびびるよ。
「えっと、昨日は、その、ほんとごめんなさい、でした」
あたしは外国人か。歯切れの悪い、カタコトを並べながらそう思った。語尾が小さくなって、言葉も体もどんどん萎縮していくのが自分でも分かる。
あぁ、嫌だ。
自分の失態にむくむくと罪悪感が湧いて、穴があったらきっと秒で入り込むだろうあたしは、影浦くんが隣でどんな顔をして聞いてるのかさえ伺う勇気もない。
どんな顔をして聞いて?怒ってるに決まってんでしょ。あたしならとうにご立腹で聞く耳も貸してやらないわ。