第17章 いい子 ※
その後、東堂を撒ききれなかった虎杖が泣きっ面で部屋に逃げ込んできたのを境に、ナマエと釘崎は俺の療養室から出ていった。
それと入れ違いに入ってきた家入さんは、居座ろうとする虎杖と東堂を手早く追い出すと、俺の腹に巻かれていた包帯を手際よく解く。
そして「念のため、もう一晩ここで大人しくしてな」とだけ告げて、足早に去っていった。
・
・
・
シャワーを浴びて浴室を出た頃には、窓の外はすっかり暗くなっていた。
軽く髪を乾かしてからルーティンの読書を済ませ、照明を落とし、ベッドに潜り込んで目を伏せた その時。
──── コン、コン、コン
狙い澄ましたかのようなタイミングで、部屋の扉が密やかに叩かれた。
(………こんな時間に誰だよ)
明日は延期になっていた交流会の二日目が控えているというのに。
心の中で文句を吐きながらベッドを抜け、扉を開くと、そこに立っていたのは 見慣れた寝間着に身を包んだナマエだった。
「……お前、」
「……来ちゃった」
そう言ったナマエは微かに頬を染めながら、甘えた視線で俺を見上げ、「入ってもいい?」と、こちらの反応を試すように問いかけてくる。
「………明日も交流会あんだから、さっさと戻って寝ろ」
「……そっか、じゃあ帰る」
やけにあっさりと引き下がるその態度が、無性に癪に障る。
そのせいか、無意識に動いた手がナマエの腕を掴み、その足を止めていた。