第74章 壊れる世界
嗚咽する私の手を、彰吾が自らの頬に引き寄せる。その頬はとても優しい温かさに満ちていた。
「俺の方こそごめん・・・俺、どうしていいか分からなかったんだ。
さららにとって、どっちが幸せなのか・・・わからなかった」
本当に、こうして目覚めさせることが幸せなのか。
これが正しいことなのか、分からなかったんだ・・・
そう言って、彼もまたボロボロと涙を流し続けた。
私だってそんなのわからない。
でも、ひとつだけ言えることがあった。
それは、きっと私の傷を癒やしてくれるのはあのアヴァロンのカードではなく・・・命がけで私を探しにきてくれた、この優しい人なんだ・・・っていうことだ。
「彰吾」
だから私は呼びかけた。
それは夢の中で、言えなかったセリフ
「助けに来てくれて・・・ありがとう」
彼がぎゅっとまた、私の手のひらを両手で包み込むようにする。そして大きな声で泣いた。
私は男の人が、こんなにも激しく泣く姿を後にも先にも、この時をおいて他に、見たことがなかった。