• テキストサイズ

淫夢売ります

第74章   壊れる世界


嗚咽する私の手を、彰吾が自らの頬に引き寄せる。その頬はとても優しい温かさに満ちていた。

「俺の方こそごめん・・・俺、どうしていいか分からなかったんだ。
 さららにとって、どっちが幸せなのか・・・わからなかった」

本当に、こうして目覚めさせることが幸せなのか。
これが正しいことなのか、分からなかったんだ・・・

そう言って、彼もまたボロボロと涙を流し続けた。

私だってそんなのわからない。
でも、ひとつだけ言えることがあった。

それは、きっと私の傷を癒やしてくれるのはあのアヴァロンのカードではなく・・・命がけで私を探しにきてくれた、この優しい人なんだ・・・っていうことだ。

「彰吾」

だから私は呼びかけた。
それは夢の中で、言えなかったセリフ

「助けに来てくれて・・・ありがとう」

彼がぎゅっとまた、私の手のひらを両手で包み込むようにする。そして大きな声で泣いた。
私は男の人が、こんなにも激しく泣く姿を後にも先にも、この時をおいて他に、見たことがなかった。
/ 724ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp