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天狐あやかし秘譚

第78章 暗中模索(あんちゅうもさく)


会議室左手にプロジェクターで事件概要が示されていた。事件は3日前の夜半過ぎに起きたそうで、端的に言えば、児童養護施設が何者かに襲撃され、児童37名、職員4名が重軽傷を負った他、行方がわからない児童も一人いる、ということだそうだ。

「怪異認定が遅れたのは、児童37名は全てヘビ毒の中毒により昏睡状態であり、いまだほとんどが目を覚ましておらず、職員4名の内2名は全身を強く打ち集中治療室にて治療中、ひとりは致命的な怪我こそなかったものの、激しい性的暴行を受けたと思料され、PTSD症状が強くて事情聴取が困難。残りのひとりは怪我などはないけれども激しく混乱していて、つい昨日まで状況を聞き出すことができなかった、からなのです」

心做しか、『37名の児童がヘビ毒の中毒』というところや『激しい性的暴行』のところで土門さんの声が震えていた気がした。つまり、侵入者は児童養護施設に侵入して、寝ている児童に毒蛇をけしかけた上、職員ひとりはレイプ、その他をボコボコにした、というわけだ。

同じ女性として、私もとても許せない。

「混乱していた男性職員というのは名を倉持と言います。その職員の話によると、侵入してきた者のひとりは2メートルに到達しようという大男で、腕の一振りで成人男女を軽く吹き飛ばしたということ、そして、もうひとりは痩せぎすの男で、その男がどこかからか、蛇を放ったと証言しているのです。」

2メートルの大男って・・・。
それに、その人間離れした力・・・?

「断定はできへんが、大男の力は神宝『生玉』の、痩せ男の力は『蛇肩巾』によってもたらされとるんではないかと推定される」

土御門の言葉に、ざわりとまたざわめきが走る。

「なにより決定的なのは、痩せ男が大男を『カダマシ』と呼んでいた、という証言なのです。これまで、まつろわぬ民は緋紅以外は互いを『シラクモ』『イタツキ』と呼びあっています。これはそれに付与されている能力に関連した古語に由来する一種のコードネームだと思われるのです。」
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