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天狐あやかし秘譚

第98章 一業所感(いちごうしょかん)


その主へのあまりの無礼な行為に、スクセとキヌギヌが恐れも忘れ、声を荒げた。

「いいよ、スクセ、キヌギヌ・・・
 ふうん。ヤギョウ・・・ここを出るのかい?」

《ぐる・・むるぅ・・・》
『もとより・・・黄泉から【それ】を持ち帰るのが主との盟約が故・・・』

《ぐぅう、ぐぐる》

っ!?

その最後の音が意味することが伝わった瞬間、スクセとキヌギヌの全身の毛穴が逆立つ。二人は咄嗟にそれぞれの神宝を構え戦闘態勢を取った。

「やめないか、ふたりとも!」
二人の巫女を諌め、緋紅がもう一度ヤギョウの背中に目をやる。一旦立ち止まったヤギョウは再びゆっくりと歩き始めた。

「ま、いいや。せいぜい、頑張ってくれよ・・・な」
緋紅は興味を失ったかのように座り直し、ひらひらと手を振った。
「「緋紅様!」」
そのあまりに投げやりな様子に、二人の巫女は抗議の声を挙げる。

なぜ、この二人の巫女がこれほどまでに殺気立っているのか。それは、先程のヤギョウの言葉のせいだった。

ヤギョウはこう言ったのだ。

『我がこの国を、いただく』
と。
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