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天狐あやかし秘譚

第97章 悲壮淋漓(ひそうりんり)


そのままイザナミが麻衣ちゃんをその腕に抱きしめる。
「いや・・・あ・・・」
完全に気圧されている彼女は、涙を流し、少し首を振るくらいしかできない。

そんな・・・!

私は目を見開く。イザナミに抱きしめられた麻衣ちゃんの身体が、次第次第にその内に飲み込まれていったのだ。

「あ・・・あ・・・」

ズブズブとまるで自然とめり込んでいくかのように、抱きしめられるままにイザナミの中に麻衣ちゃんの身体が沈んでいく。そして彼女の身体が沈むごとにイザナミの真っ白な肌が血色を取り戻し、髪は徐々に黒く染まっていった。そして、唇が真紅に染まった時、麻衣ちゃんの身体は完全に飲み込まれてしまっていた。

「はははは・・・ふふふ・・・ふふふ・・・・はーっははっはあ!!
 黄泉返った・・・蘇ったぞ・・・」

一瞬恍惚とした表情を浮かべたイザナミが、私の方を見据えた。その目に射すくめられて、私は一瞬息ができなくなる。

「依代ばかりか、贄まであるとはな・・・主は巫女じゃな?その、心の臓の血・・・妾に捧げるが良い・・・」

一歩一歩、近づいてくる。強大な力を持った黄泉の神が。

私も、これまでいろいろな怪異に遭ってきた。

東北の曲がり神
狂骨
ホシガリ様
疱瘡神

そのどれとも違う、どれよりも強い威圧感
創生の女神であると同時に、日本最悪の邪神

イザナミが私の前に膝を曲げ、その美しい顔を近づけてくる。
恐ろしいほどの美しさの中に、数千年蓄積された怨念を感じる。

「いただくぞ?」
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