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天狐あやかし秘譚

第93章 怪力乱神(かいりきらんしん)


まず、警察庁に協力を求め、『有毒ガスの発生』という名目で近隣住民を退去させた。その後、ダリが土御門に化け、黄泉平坂を中心に半径3キロほどの異界を作成した。異界の境界はなるべく現実とシームレスになるようにし、このエリアに侵入した全てのものを取り込むようにしてあった。同時に、異界の背後にある現実世界には息を潜めた陰陽寮の陰陽師たちが控えている、という寸法だ。

こんなややこしい事をした理由は、敵方がどの程度の隠し札を持っているか分からなかったこと、そもそも最初から麻衣や死返玉を持ちこまない可能性があること、それら全てが揃わない内に襲撃したら逃げられてしまう可能性があること、などからだ。

要は敵の手の内を全てさらけ出させてからこちらの戦力をぶつけるための作戦だった、わけだ。

日暮によると、この土御門の作戦は途中まではうまくいっていたようだったが、『ヤギョウ』という首無しの化物が水の術式を跳ね除けたことから陣形を崩されてしまった、ということだった。

「敵方の戦力を『神宝』のみ、と思っていたのが仇になりました」

ヤギョウについては今回初登場であり、読みきれなかったというのは致し方がない。今、結界内部では黄泉平坂を巡る壮絶な攻防戦が繰り広げられているのだという。

その話を聞いて、私の心配は頂点に達した。
姿を見ることもできない、力になってあげることもできない。
「ダリ・・・大丈夫、だよね?」
私が思わず呟いた言葉は、夜の闇に溶けて消えていった。
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