第2章 水神姫
『相変わらず…すごい寝相ね』
先程までの、
神経をすり減らす任務での気持ちを
癒してくれる、その少年の寝顔に
マイは優しい笑みを向けた。
そして、先程火影に語った自分の思いを
昔の自分に重ねるように
火影と同じく、思いかえしていた。
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何を言うか!ヒルゼン!!
火影自らが動く!?
里を九尾に襲撃された今…
木ノ葉を狙う輩が出てくるやもしれんぞ!
ご意見番の仰るとおりです。
今離れることは、なりません!
一族殺しは確かに重いもの。
しかし、今は里の立て直しが最優先。
火影たるもの、それが分からぬか!
「里の立て直し、百も承知。
だからこそ、追うのだ…。
二代目火影様が大切に思うたからこそ
水流園一族は里のために
血生臭い仕事を請け負ってきてくれたのだ…。
あんなにも純粋で
里を愛した一族がいただろうか。
美しい容姿をもったことで
他国から狙われ、苦しんでいた彼等は
二代目火影様の計らいにより
安泰に里で暮らせるようになった。
それは一族の姓を隠して暮らす事と
なったのにも関わらず
暗部として貢献したいと…
それでも良いのだと
感謝しきれぬと
幸せそうな水流園ナガレ…
水流園一族長の顔が忘れられぬ…。
人が足らぬ今、わしは動く。
二代目火影様…ナガレ…マイ…
里を守って散っていったミナト…クシナ…
幼いナルト…
里を愛するもののために
わしは動く!
マイはわしの元で面倒をみる。
これは決定事項じゃ!
何人たりとも
火影の決定に背くことは許さぬ!!!」
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皆からあんなにも反対されていた中
真っ直ぐ気高く純粋に
里を愛する己を信じた火影の決断。
一族を愛してくれていたからこその
決断…。
火影の優しく強く
底知れぬ器の大きさを…
『私は…貴方がいてくれたから
こんなにも前に進めた…。
木ノ葉の忍になれて、貴方の子になれて
幸せだな…』
スヤスヤと眠る少年を見つめ
『君にも私は救われた。
君のその小さく大きな背中は、
私の希望だよ…
ナルト…』
そう呟き
マイはナルトの家を後にした。