第6章 香水
ーー後日。
高専の廊下を歩く五条は私服の伏黒と鈴に出会った。
「やっほー、二人とも今日はオフ?」
「五条先生、これからお買い物に行くんです。あれ?香水、元の香りに戻したんですか?」
「あー、こないだの数量限定でさ、調子に乗って使いまくってたらすぐなくなっちゃった。今日は鈴もいい香りするね」
鈴は隣に立つ伏黒と目を合わせ、えへへと嬉しそうに笑う。
「僕も同じの買おうかなー。どこの香水?」
「やめてください、マジで」
伏黒はニヤつく五条を疎ましそうに見上げた。ふわりと漂う爽やかで甘い香りはさっき嗅いだばかりだ。
「んー?…なるほど、仲がよろしいことで。香水がお揃いなんて恵もかわいいとこあるじゃん」
「余計なお世話です」
微笑ましいやら、うらやましいやら。
彼らから青春を取り上げる権利なんて誰にもないのだ。恋せよ、若人。