第15章 潔白
し「立場、とは…どういう意味でしょうか。
彼等はただ真実を告げに来てくれただけ…、
どのような立場でも関係ないと思いますが?」
「うるさい!!!
こいつらの家族が生活出来るのは
儂が土地を与えてやったからなんだぞ!?
息子に怪我をさせたこの女の事なんぞ庇いおって…、恩を仇で返す気か!!?」
「…あーあ、お前達どうすんだよ?
俺の親父をこんだけ怒らせて…。
もう今の家じゃ暮らしていけないな?」
「「っ……。」」
…その親子の発言からして
2人の隊士が、この人達から脅されていたのは事実だったみたい。
父親に罵声を浴びせられた事で
彼等はすごく苦しそうな表情で、困っている様子だった。
…なんでこの2人が苦しまないといけないの?
2人は私の為に
真実を伝えにきてくれただけなのに…
この親子はどこまで非道なんだろう…。
「ったく、俺と親父に従っておけば
今までと同じ場所で生活できたのにさ…
これから家族揃って路頭に迷うのか。」
し「では、認めるんですね…?
さんに怪我を負わされたと
彼等に嘘の証言をする様に頼んだ事を…」
「…えぇ、認めますよ。
俺の怪我はこの女とは関係ない。
西口を傷付けやがったから
痛い目に遭わせてやろうと思ったんだよ。」
冨「…いい加減にしろ。」
「は…?水柱、何か言いました?」
『っ、冨岡さん…?』
さっきみたいに刀を抜く事はしなかったけど
冨岡さんの怒りに震えてる声は
私の耳にしっかりと入ってきて…
驚きながら声を掛けると
冨岡さんはその場に立ち上がり、隊士を睨んでいた。
冨「お前達親子は…救いようのないクズだ。
なぜそれだけのことで…
を苦しめたんだ…」
「先に俺の友人を傷付けたのはこの女ですよ?
今回の事で相殺って事でいいと思います。」
冨「っ、ふざけるな!!!何が相殺だ!!」
『と、冨岡さんっ!落ち着いて下さいっ!!』
声を荒げながら
その隊士の元に近付こうとした冨岡さんを止める為に、私は慌てて立ち上がり、冨岡さんの前方に回って体を押さえた。