第7章 死神と蝶屋敷
いや…これが現実で鬼が出てくるなんて物語の方が夢だったのではないか?
一瞬杏寿郎の顔が頭をよぎるがモヤモヤと霧がかかる。
(杏寿郎なんて友人は私が作り出した想像の人物だった…。そうだ、私なんて忌み子に太陽の様なあんな素晴らしい友人なんてできるはずがない。)
血を流し過ぎたのかその場に倒れ込む。
すると人がすぐ目の前に立ち柊を目下ろしている気配。
「どうせお前はすぐ死ぬ。死神にも鬼殺隊にもお前の居場所などない。」「あなたが来てから僕の仕事が増えました。とても迷惑なんです。早く出て行ってくれませんか?」
目線だけ上げるとそこにいたのは槙寿郎と千寿郎。
「槙…寿郎…、千寿郎…どうして…ここに…?」
「斬魄刀?氷雪の蘭?そんな刀すでに鉄の塊に変えました!この世には日輪刀だけあればいいっっ!!」
新たに現れたひょっとこお面の男
「願鉄…?蘭は…?」
先ほどまで手にしていたはずの刀の刀身はなく柄だけが握られていた。
(そん…な、蘭…)
「あらー?柊さん、こんなとこで転がってるなんて無様ですねー。それでも鬼殺隊ですかー?あなたの役割なんて稀血として鬼を誘き寄せる餌しかないですねー」
カラカラと笑いながら毒を吐くしのぶの姿も。
「しのぶ…。」
「…死ねばいい。役に立たない奴は存在しない方がマシだ」
「義勇…。」
そして奥には流魂街リーン地区の柊が傷つけた人々の姿が見える。恨めしそうにこちらを生気のない顔で睨みつけている。
「あ…あ…っっ…ご…めん…なさい…っっ!!」
そして最後に
「リーン!君は人間だが、心は鬼のように醜いバケモノだ!だから!俺が斬る!!」
「杏…寿郎……?な…んで…?君は…私の味方に…なってくれるって…言ったのに…?」
「味方?そんな物なるわけがない!お前のような忌み子の味方なんてこの世にどこにもいないっ!!貴様は死んでやっとこの世のためになる!」
「…杏…寿郎……。…杏寿郎…。」大切な友人の名を呼ぶ。
「貴様に名前を呼ばれると虫唾が走る!」
杏寿郎は構えて剣技を出す体制だ。
「…杏寿郎は!!そんな事!!杏寿郎がそんな醜い言葉をっ話すわけがないっっ!!」