第1章 死神と鬼狩り
「まだ!おじいさまにっ!何もっ!恩返し、、できてないのに!、、ッヒック、、守られるだけじゃなくっ!!守りたかった、!!」
ごめんなさいと何度も謝罪の言葉を吐き続け、涙する私に杏寿郎は背中をトントンと摩りながら謝らなくていい。大丈夫だから。君は悪くない。そう言って抱きしめくれていた。あぁこんなにも優しく抱きしめられたのはいつ以来だろう。その温かい手が腕が言葉が心地よくて、私はいつのまにか眠りについた。
「この忌み子がっ!!」
「なんて気味の悪い!」
そう言って血の繋がりだけの両親は私を蹴る。
物心ついた頃から殴る蹴るは日常だった。
これが私の『普通』だからだ。
最初は泣いた。痛くて、辛くて。でも泣くと余計に殴られる。
だから泣く事をやめた。
泣く事をやめても今度は泣かないことに気味が悪いと殴られる。
どうすればいいのかわからない。
私には姉がいた。姉は両親から可愛い!えらい!と褒められていた。姉はニコリと楽しそうに笑っていた。
笑えばいいんだ。だから両親の前で笑って見せた。
「忌み子が笑った!!呪われる!」そう言ってまた殴られて蔵に閉じ込められた。
蔵にいる間も変わる代わるやって来て殴られ、蹴られた。理由はいろいろ。
やれ商売が上手く行かないだとか、やれ不貞を働かれただとか。ひどい時には今日は暑くてむしゃくしゃするから。なんてこともあった。
言葉を理解できるようになった頃には炊事洗濯掃除を全て1人で行なっていた。もちろん失敗すれば罰がある。食事?野菜の切れ端や皮や家族の食べ残しのみ。まともな食事などした事なんてないし、考えた事もなかった。
何故私だけがこんな境遇なのか。それはもちろんこの髪と眼の色だ。
父も母も黒髪黒目。外国の血筋なんてない。父は母の不貞を疑ったが、母が全否定。そして私を忌み子だと罵ったのだ。