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終わりの始まりに二度目の生を謳歌する【五条悟】

第9章 離れることは許されない


こんな人が婚約者なんて…怒りを抑えて、一緒に持ってきていたおしぼりで悟くんの口を拭く。


「熱くなかった?ごめんね…お粥、もっかい作ってくるね。」


「奏音…ごめ……。」


「悟くんは何も悪くないよ。今回は回復が早そうだね、よかった!」


悟くんが私の額を親指でなぞるとぬるっと滑った。

お粥かな?

そのまま別の指で顔にかかったお粥を拭ったが、私の手からおしぼりを取って拭いてくれる。

顔が綺麗になったのか今度は服についたお粥を拭く。


おしぼりでは限界がきて諦めたのか、腕を下げた。

悟くんの手の中のおしぼりを見ると赤く染まっている。

あ、血が出てたのね。


おしぼりを受け取り離れようとすると腕を引かれて、悟くんは服を脱がそうとし始めた。


「まっ、待って悟くん!大丈夫だよ!」


布団についたお粥もどうにかしないと…。


服を脱がそうとする悟くんの手を掴むと悟くんの目線はご両親の方に向き、何か言葉を紡ごうとしていた。


「っ…ぁ……奏音…。」


だが、出てこないようだった。


どうして言葉ばかり…人にとって言葉は一番大事なものではないか。

言葉がなければ気持ちを伝えられない。


悟くんの目を見つめていると瞳が光り出す。

まさか、力が…。


「ねぇ悟、この人には謝るから、ね?私と結婚しよ?」


婚約者が悟くんに触れようとしたが、その手は悟くんに触れられなかった。

無下限呪術が発動してる。呪力が戻ったんだ。


自動なのか、それとも反転術式を使えるのか…。


「反転術式使える?」


悟くんは頷き私の頬に触れる。

ん?婚約者が未だに触れようとしている手を見ても、その手は悟くんに近付かない。


「自動も出来てるの?」


また悟くんが頷いた。

すごい…もうほぼ元通りなのだろうか。

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