第22章 柔らかな時間
それから何度体を重ねただろうか…気付けば眠りにつき、朝を迎えていた。
「ン…」
ふっと目を開けた雅はスマホを手に取る。
「六時…か…」
ごろっと向きを変えるものの、そこには加賀の姿がない事に気づいた雅は一気に目が覚める。
「…な、んで…」
上手く回らない思考の中、焦りつつも部屋を見渡す。鞄はあるし、カードキーもある。でも加賀がいない…
「…ッッ」
掛布団をきゅっと握りしめた時だ。ガタっと音がする。
ゆっくりとベッドを降り、下着を付けて加賀のTシャツを着れば扉に向かっていく雅。カチャっと開ければ加賀も下着を付けて上半身裸のまま、髪を拭いていた。
「…起きた?」
「…ッッ…いた…」
きゅっと巻き付く雅。そんな相手を片手で抱きしめながらもドライヤーを一旦切った加賀。
「…どうしたよ、ん?」
「居なくなっちゃったかと思って…」
「居なくなんねぇって。だろ?」
「ん…」
「ほぉら、向こうで待ってて?もしくは雅も風呂、入る?」
「…ッッ」
「てかよ…」
背中に腕を回して加賀はTシャツの裾からするっと手を入れた。
「…それ、俺のだろ?」
「ごめ…ッッ借りた…」
「だぼだぼじゃねぇの」
「ん…そうなんだけど…」
しかしそれからは言葉少なに首に唇を寄せた。
「…ン…まって…」
「やだ」
「だって…もぉ…たくさん…ッッ」
言ってる傍からちぅ…っと吸い付いていく加賀の唇、そしてそれをぺろりと舐める舌にぴくっと体は震える雅。
「…俺髪乾かしてっから、入っちゃえよ」
「…ん」
するっと腕を離せば浴槽の中に入ってシャワーカーテンを引けばTシャツを脱いで加賀に手渡す。
「…なんでカーテン越しなんだって」
「だって…」
「はいはい」
受け取ればそのまま身に着ける加賀はドライヤーで髪を乾かし始めた。