第11章 離れゆく心
みんなが出勤して来た頃、私を含めた数名が副隊長に呼び出される。
小隊長たちと私や姉と他数名、全員解放戦力が高い者ばかりだ。
亜白隊長までいて、何事だろうと首を傾げる。
副隊長は復旧作業が進められている基地を見つめてから、私たちに声をかけた。
「お前らには解放戦力が低い者の育成をして欲しい。やないと…仲間が死ぬことなる。あいつらを守る為にも、少しでも強くしろ。」
全員で了と返事をし、それぞれ言い渡された場所に向かおうとした。
すでに誰が誰を見るか決まっているようだ。
「宗四郎くん、仮眠室で寝たよね?宗四郎くんが入った仮眠室から妹の喘ぎ声と水音が聞こえてたけど、何してたのかな?」
姉の言葉にみんなが驚き足を止める。私も固まってしまった。
なんでそんなことを言うのだろう。
「……扉に張り付きでもせんと聞こえへんはずなんやけどな。僕が入ったってわかっとる部屋に張り付いてたんか。」
否定してくれ…思いっきり肯定してんじゃん…。
「宗四郎…っ……副隊長は、私が鍵を掛けるのを忘れてたので、気を使って一緒にいてくれただけです。」
「一緒にいただけじゃないよね?何してたの?……私とデートしてた男と…。」
姉が今までこんな風に言ったことはなかったので、驚いて黙ってしまう。
まさか…姉は本気で副隊長のことを狙ってる?
「はぁ…神谷がいたことは言わんくてええやろ。僕に不満があるなら、神谷を巻き込むなや。」
なんで庇おうとするの…2人はどこに行って、何をしてたの…?
亜白隊長は口を挟まず、ただ黙って聞いている。
副隊長はどうなるんだろうか…。
「僕が神谷に未練があるだけや。はよ行け!」
少しきつい語気にみんなは歩を進める。
私はどうしたらいい?姉が留まっている以上、いた方がいいのだろうか。
「璃子ももう行け。神谷は腕立てしていけ、呼び捨てした罰や。」
え?なんで私だけ?
姉は渋々離れていく。
仕方ない、やるしかないと地面に手をついて腕立てを始めた。
副隊長は姉の姿を目で追っていた。