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あなたに出逢う

第15章 炎上



「ほう、あの厳しさで懲りないとは。中々に図太いな」

今では光秀さんの意地悪にも慣れてきたところだ。

「厳しくされる程頑張ろうと思えますので」

「教え甲斐のある弟子だ」

そう言って頭を撫でてくる。少しくすぐったい。
兄のような師のような不思議な感覚だ。

「あまり無茶はするなよ、秀吉がまた騒ぐ」

「気をつけます」

光秀さんと別れ、空を見る。綺麗な夕陽だったがこれから何かが起きる、そんな感じのする夕陽でもあった。















二ヶ月後


「(なんだか騒がしいわ。何かあったのかしら)。

夜になり、城内がやたら騒がしい事に気づく。読んでいた書物を置いて廊下に出ると秀吉さんが通りかかった。

「秀吉さん!何かあったの?」

「お前、まだここにいたのか!早く城から出ろ?」

一瞬、何を言われてたのか分からず戸惑っていると





ドオオオン!




爆発音と共に城が揺れた。

「一体、何が‥‥!」

「説明は後だ!城を出ろ!俺も後で行く」

秀吉さんは城内に残っている人がいないか最終確認のため数人の兵を連れて奥へ行った。

「(何が起きたのか分からないけど、逃げよう)」

男装していたのが幸いで動きやすかった。懐に桜の髪飾りが入っているのを確認し、城下へ逃げた。








「どうして、城下が‥‥焼けてるの‥‥」

城下へ行くもあちこちに火が出て消火活動をしている。家も幾つか崩壊している。

立ちすくんでいる場合ではないと気づき、織田の兵達と怪我人運ぶ作業を手伝う。

昼間も歩いていた町が一瞬で壊された。
悲しさと怒りが同時に湧き、手を強く握る。

「(誰が一体、こんな事を‥‥!)」

湧き上がる感情を落ち着かせ、怪我人の手当てや迷子の子達を親元へ届ける。
戦場にいる時よりも夜が長く感じた。












翌日、安土城及び安土城城下の消火、救出活動は終わり、私は秀吉さんに焼けていない城にある本丸御殿に案内された。

御殿に入ると、信長様、光秀さん、政宗、家康さん、三成くん、琴葉、赤髪の男が座っていた。

「揃ったな。昨夜の報告を」

三成くんが紙を持ってみんなに報告する。

「安土城天主が砲撃に遭い、その飛び火が城下の家々を崩落させたとの事。怪我人はいますが死者の報告は上がっておりません」

それと、と三成くんが一息おく。
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