第15章 炎上
京旅行から帰って二日後に琴葉は家康さんと一緒に駿府城へ行った。
政宗も同日に奥州へ帰っていった。
出立前に政宗が言った事が頭に残る。
「三人とも気をつけてね」
「美桜も元気でね」
「そんな顔しなくてもまた直ぐに会う事になると思うよ」
家康さんが呆れ混じりに言う。
「え、そうなの?」
「自領に戻るのも一時的だ。また直ぐ招集がかかるだろ」
私達が理解できてないと思ったのか、政宗が説明してくれた。
「今は反乱がないとはいえ、信長様に反旗を翻す奴がいつかは現れる。その時まで兵力を温存しとけとの御命令だ」
「(脅威である上杉・武田と同盟を結び、顕如の力も弱まったけど何かの綻びでまた戦が始まる‥‥今こうしてみんなと会話できてる事が奇跡みたいなものだわ)」
辛気臭くなった私達の顔見て政宗はニカっと笑う。
「まっ、例え信長様には向かう奴がいても俺達で叩き斬る。だろ?」
「今回ばかりは賛同します。二人とも、そんな変な顔してないでいつもの顔に戻りなよ」
家康さんにも励まされなんとか表情を明るくする。
「じゃあ、俺達は行くから」
「美桜、着いたら文出すからねー!」
家康さんと琴葉は馬に乗って行ってしまった。
「俺もそろそろ行く。‥‥お前も一緒に来るか?」
唐突な誘いに思わず固まる。
「え、遠慮しておくわ。まだここでやり残している事もあるし」
「それは残念だ。お前を掻っ攫う良い機会だったのに」
残念だと言いつつも政宗は笑顔だ。冗談で言ったのだろうと一目でわかる。
二人でしばらく顔を合わせて笑い合い、政宗も領地へ帰った。
「一気に静かになった気がする」
城内は先程までとは打って変わって静かだ。それぞれの兵達も帰ったのだから静かになるのは当然か。
そんな事を思っているうちに天主に着いた。
「信長様。美桜です」
「入れ」
失礼しますと言って部屋に入る。
私が天主に来た理由、それは、