第14章 京
政宗に関しては驚き半分、おもしろいが半分という感じだ。
「やっぱり、お前達何かあったな」
「やっぱり、とは?」
「お前達に会った時からなんか独特な雰囲気持ってるなって思えばこの通りだ。ますますおもしろい」
前言撤回。この人はおもしろいが9割、驚きが1割。
家康さんに関しては頭痛そうにしている。
「あんた達がこの時代の人間じゃないって‥‥御伽話じゃないんだから‥‥‥まあ、嘘をつくような人じゃないってわかるから、信じるよ」
三成くんはこの中で一番驚いている。
「‥‥‥驚きました。お二人は元の時代に帰らなくてよろしかったのですか?」
素朴な質問に素直に答える。
「うん。私達は今ではここが好きだし、この先ここで暮らしていきたい。だから、帰ろうとは思ってないわ」
みんなの顔を見ると心なしか少し笑顔になっている。
今はここにいる人全員大切な人だ。誰にも欠けて欲しくない。この時代だと難しい願いかもしれないけど‥‥
琴葉が少し言いづらそうに控えめな声で言った。
「あの、私、駿府に行く前に京の方に旅に行きたいのですけど‥‥」
え?と全員が琴葉の方見る。
先の宴で家康さんが琴葉と恋仲だという事を信長様に言い、一緒に駿府城に連れ良い許可を貰った。
その時の広間といえば大騒ぎだった。家康さんの家臣のみなさんは嬉し泣き、琴葉のこと狙っていた他の家臣達は床に泣き崩れたりとドンちゃん騒ぎ。
「何言ってるんだ!このご時世、女の子が一人旅なんて危険過ぎる!」
「大丈夫だよ、美桜も来てくれるし」
「あんたね、そういう問題じゃないでしょ」
「まだ駿府に行くまで期間はあるんだし、その間にこの時代の京を見て、創作意欲を湧かせておきたいの」
琴葉の旅の目的は観光も勿論だが京文化を実際見て今後着物を作るのに役立てたいとの事。この事は昨日知ったが私も一つ返事で行く事にした。
「美桜、琴葉。この時代に残る決めたのなら、己で世を見て来い」
「はい、ありがとうございます!」
そうして私達は秀吉さんから知らない人には着いて行くなとか小学生の遠足の様な事を言われ、旅支度済ませて出発した。