第11章 春日山城
それから数日、軍議に来いと言われ私と琴葉は広間に向かった。
「来たか、お前達にも関係のある事だから呼んだ」
末座に座ると軍議が始まる。
「織田軍との戦から数日が経った。あの日、急襲をかけて来たのは顕如である事が確認できた。まあ、俺がこの目で見たから調べるまでもなかったが‥別人である事も考えられ、念の為調べていた」
「(顕如‥あいつは何がしたいの?)」
顔に刀傷のある男を思い出す。
「(信長様を殺したいなら織田軍だけを狙うはず‥‥まさか、)」
ある考えに辿り着き思考を中断させる。何の確証もない、憶測で物事を決めるわけにはいかないと思い、軍議に集中する。
「俺達の軍もあの急襲は予想外であった。美桜同様に毒矢を受けた者も多い。
織田軍側にも同様の損害を負っている事がわかった」
織田軍の名を聞き、汗が出る。あの後、織田軍がどうなったのか一切の情報が入って来ず、気になっていた。
「急な襲撃でなんとか応戦できたものの、多数の兵が死んだと入ってきた。まあ信長やその同盟相手達は生き延びたそうだ‥」
信長様達が生きていると聞き、安心する。でも多数の兵が死んだと聞き、眉間に皺が寄る。
「(もしかしたら私の教え子達も犠牲になっているかもしれない‥)」
教え子と言っても殆どが年上だ。それでも私の大切な弟子達に変わりはない。
「信長との戦を邪魔するとは‥顕如め。許さんぞ」
「落ち着け、謙信。それで、今後どうするつもりだ」
「顕如を潰す。その後に信長だ」
とんでもなく笑みの無駄遣いだなと思いながら考える。
「(織田軍も顕如をまずは潰す。そこから上杉・武田軍との再戦をするはずだ。できれば両軍で戦って欲しくない‥)」
私は一つの考えを思いつき提案する。
「織田軍との一時的な休戦、協定を結ぶというのはどうでしょう」
「な、お前、本気で言ってんのか?!」
「幸村、落ち着いて。美桜さんの考えを聞こう」
「美桜、続きを話せ」
謙信様に言われ、緊張しながらも発言する。