第11章 春日山城
春日山城に着いて早々、謙信様に連れられ牢に入れられた。
途中、信玄様と佐助くん、幸村が止めに入ったが謙信様は聞く耳持たず。『これ以上追ってきたら叩き斬る』と殺気立てて言ってきたのでそれ以上、追えなかった。
「謙信様!話し合いをしましょう!」
「俺には話す事など何もない」
氷の様に冷たい眼で見られ、怯みそうになるが何とか耐える。
「ごめんなさい‥怒るのは当然です。嘘を着いていたんですから。でも、これだけは言わせて下さい。私は裏切るような事はしません」
「‥‥
何も言わずに謙信様は牢から去って言った。
「(これからどうなるんだろう、美桜は大丈夫かな、)」
暫くして、信玄様と佐助くんがやって来た。
「すまない、琴葉。止められなかった」
「良いんです。お二人は何も悪くありません!」
「今、謙信様を説得して牢から出してもらえる様頼んでる。それと、美桜さんも回復に向かっている。まだ目覚めてはないけど」
佐助くんから美桜の状態を聞き、安心する。
もう少しだけ待っててと言って二人は帰って行った。
その翌日、幸村と信玄様が来た。
「佐助も来たがってたけど謙信様に斬りかかられてて俺達だけ来たんだ」
「とっておきの紙を残して来たから大丈夫さ」
信玄様の言うとっておきの紙が気になるが、こうして私が退屈しないように来てくれてありがたい。
「そろそろだな‥」
三人で話していると信玄様が意味深な事を急に言った。何だろうと思っていると絶対零度の声が響いた。
「そこで何をしている」
「謙信様?!」
「とっておきの紙の効果だな。じゃあ俺達はここでお暇させてもらうよ」
信玄様と幸村と入れ違いで謙信様が牢の前に来た。
「何もされなかったか」
「あ、はい‥特に何も‥」
「(信玄様、一体何を書いて来たの?!)」
「信玄様、とっておきの紙ってなんですか?」
「んー?これだよ」
信玄に紙を渡され、幸村は声に出して読む。
「『囚われの姫を幸と共に愛でに行く。』って俺を勝手に巻き込まないでください!」
「まあまあ、結果ああして謙信が来たんだから。‥この機会が恐らく最後だ。頑張れよ、琴葉‥」