第6章 訓練開始
翌日、砲術訓練は午後からでそれまでは体術稽古をしていた。
「(まずい‥!遅刻する!)」
稽古後、琴葉に羽織の注文をしていてそのまま談笑し、今に至る。
足が速いのが役に立ち、なんとかギリギリで着いた。
「遅くなってすみません、!」
「お前の仕事ぶりは聞いている。今回は許してやろう。だが、友人と話すのに時間を忘れるとは‥お前もまだまだ子供だな」
「うっ、返す言葉もないです‥」
「光秀、その辺にしておけ。美桜が困ってる」
「ま、政宗さん?!」
「(いつの間に‥?!いやさっきからいたんだろう。私が気づかないかっただけだ‥)」
「ここにおはぎ置いとくから、休憩中に食えよ。光秀も」
「ありがとう。美味しそうだね」
「俺が作ったからな。気に入ったなら言えよ。また作るからな」
手をひらりと振って政宗は帰った。何をしに来ていたんだろうと思いつつも訓練を始める。
「昨日言ったことは覚えているか?」
「はい、点火からですよね」
「ああそうだ。お前は体術ができるから筋力はあると思って今日か実践訓練に入る。あの的を狙って撃て」
早くない?!と驚く間もなく銃を渡され、準備をする
「(‥正直、これを扱えるようになったとして、使いたくない‥人を守るために、空手を習ってきたけど、一発で殺せるような銃なんて、持ちたくない‥!」
「どうした。早くしないと火が回ってくるぞ」
__パァン
指先を震わせながら撃った弾は、的を掠めもしなかった。
「見事な才能だな。木すら掠らないとは」
光秀さんのからかいが耳をすり抜ける。
「‥怖かったです。撃った時の振動が‥‥何より、練習すれば戦で使えると一瞬でも思った自分が‥」
撃つ時、銃に呑まれそうになった。恐怖と興味、これほど恐ろしかったなんて‥
「その気持ちを忘れないことだ。確かに、刀とは違い練習すればすぐに使える。撃つ快楽に呑まれるやつもいれば、恐ろしさに呑まれるやつもいる。
お前は、どちらにも呑まれなかった。常にこの気持ちも持て」
頭を撫でられ、なんだか泣きそうになったがぐっと堪えた。
「‥光秀さんも呑まれそうになったことはありますか」
「さあな、もう忘れた。‥一休み入れるか。政宗からのおはぎもある」
「(話を逸らされた。この人は自分を話すつもりはないんだ)」