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あなたに出逢う

第5章 安土城城内



翌日、寝不足だが気分はとても良かった。琴葉の恋を手伝うと決め自分も現代に帰らず、ここに残って友人が幸せになるところを見届けることにした。

「(よくよく考えてみれば、琴葉の家康さんを見る時の眼は恋をしている人の眼だった。それに話を聞いている限り、家康さんも少なからず琴葉が気になる存在になっている感じがする。そうじゃなきゃ呼び捨てで良いなんて二人きりの時に言わないもの)」

うん、間違いない!両片思いの可能性が出てきた。これは手伝い甲斐がありそう、なんて考えているうちに稽古場に辿り着いた。

「「師範、今日もよろしくお願いします!!」」

「こちらこそ今日もよろしく」

昨日の復習から始まり、また新たな技を教えた。現代で空手教室の師範代をしていた頃より、進むスピードが速い。

「(流石織田軍の家臣達‥‥覚えが速い)」

自分も負けてられないと思い、自主練の時間を増やそうと決めた。


稽古も終わり、後片付けをしているとふと疑問が募った。

「(私が万が一、体術ができるからとかいう理由で信長様から急に兵として戦に駆り出されたら、武器も持たずに生き残れるだろうか‥まあ、あの人が女を戦に連れて行くことは無いと思うけど‥)」

そんなことあるはずないと思っていたのに、まるで私の思考を読んだかのようなタイミングで疑問は現実となった。





男装のまま自主練をしていると女中さんから軍議に参加するよう、信長様から命が来たと言われた。


広間に入ると、琴葉もいた。

「(琴葉も呼ばれていたんだ。光秀さんもいる‥そういえば最近、見かけなかったけどどこにいたんだろう)」

末席に座ると軍議が始まった。

「先日、御館様を襲った賊の正体が明らかになりました‥‥本願寺元法主•顕如です。」

三成くんの報告を聞き、広間の空気が変わった。

「やはりあの坊主か。執念深いやつだ」

信長様は誰かわかっていたような口ぶりだった。

「現在、姿はくらましていますが秘密裏に仲間を集めていることがわかりました。」

みんなが捻っている中、光秀さんが挙手した。

「御館様。私からも一つご報告が」

「なんだ。言ってみろ」

「死んだと言われていた越後の龍•上杉謙信が生きていることがわかりました。甲斐の虎•武田信玄を城に匿っているそうです」


光秀さんの報告で場が一気にざわついた。


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