第4章 安土城城下
「遅いぞ、美桜!」
「すみません。色々してたら遅くなりました」
「心配したんだぞ!」
心配、?秀吉さんが?という眼で彼を見ると困ったような顔で笑った。
「実はさっき、お前が民を守ったっていう報が入った。怪しいやつなら人助けなんかしないよなって思った‥すまなかった、厳しくして。これからはその分を含めてどんどん甘やかすからな」
頭をポンポンと撫でられた。なんだか兄みたいだなと思い、ふふっと笑みが溢れた。
「?!もっと早くに気づいておけば良かった‥」
「何か言いました?」
小声で何を言っているか聞こえなかったからもう一度聞いてみたが、なんでもないと言われ、それ以上は聞かなかった。
「琴葉の熱、随分下がったんだぞ。流石、家康だな」
「本当ですか?後でお礼を言いに行かないと」
廊下を歩いていると、三成くんに会った。
「秀吉様、美桜様、お帰りなさいませ。お二人を呼ぼうと向かっていたんです」
「三成か、何の用事だ?」
「琴葉様の目が覚めました!」
三成くんが言ったことを頭の中でもう一度繰り返し、ほっと安心した。
「よかったあ。今、会いに行っても平気?」
「はい、お二人に会いたいとおっしゃっていましたよ」
三人で琴葉の部屋へ向かい襖を開けると、布団に座っている琴葉と、お見舞いに来ていたのか、政宗と家康さんがいた。
「琴葉!もう体調は大丈夫なの?」
「うん、もう元気!みんなのおかげ!」
「平気って言ってるけど、まだ安静にしてないとまたぶり返すから大人しくしてなよ」
家康に注意され、琴葉ははあーいと気の抜けた返事をした。
「それより美桜。まーた人助けしたんだって?」
「う、うん。何だか見てられなくて‥」
みんなの視線が私に集まり、急に居た堪れなくなった。
「流石美桜!我らのヒーローだよ!」
「「「ひーろー?」」」
「(ああ、そっか。この時代にはない言葉だからわからないか。琴葉もしまったって感じの顔ね)」
言葉を選びながら『ヒーロー』について説明した。
「英雄とか、勇者って意味です」
「なるほど。勉強になります!」
勤勉な三成くんは早速新しい知識を吸収しようとしている。