第8章 いしゅぞく
首都の貴族住宅街を馬車を走らせ
ミへーラフィ侯爵家の正門を通り
ミへーラフィ家本邸宅の前に馬車が止まった
「着きました。」
御者が馬車の扉を開けた。
侯爵家というだけあって多くのメイドと従者が頭を下げている中
真ん中にいたのは
綺麗にセットされた黒の短髪に黒い瞳に細い眼鏡で執事服を着てる初老の男性
ミへーラフィ侯爵家の執事
ボルツ
黒髪は低い位置で一つに結ってある黒い瞳で丈の長いメイド服を着てる中年女性
ミへーラフィ侯爵家のメイド長
クレーメ
ギルヴァが先に馬車から降りて、ジッと少し冷ややかな目で、
ボルツとクレーメ含めたメイドと従者達を見た
ギルヴァの姿と視線に、立っていたボルツとクレーメは少し身構えながら頭を下げた
軽く溜息をつきながらもギルヴァは馬車の方へ向き直し
「マキア、おいで…」
先程まで冷ややかな目をしていたとは思えない
優しい声を出して表情も柔らかなギルヴァが手を差し出す
ギルヴァの手に自らの手を添えたマキアがゆっくりと馬車を降りる
ミへーラフィ侯爵家では着ているのを見たことない
華やかなドレス姿のマキア
「ありがとうございます。ギルヴァ様」
優しい表情のギルヴァに微笑みお礼を言いながら馬車を降りた。
驚き少しザワめくメイドと従者達
同じく驚きの表情を見せるボルツとクレーメは頭を上げていた
「お出迎え、ご苦労さまね。ボルツ…クレーメ…」
ギルヴァに手を握ってもらいながら真剣な顔でボルツとクレーメに声掛けたマキア
名を呼ばれたクレーメは頭を下げる
ボルツも深く一礼してから頭を上げながら
「お帰りなさいませ。マキア様。そして、お初にお目にかかります。ガイベルド公令息様」
ボルツが発したギルヴァの呼び方に、
ギルヴァは軽く鼻で笑いながら
「デビアン帝国内の者が呼ぶような呼び方をされるとは思わなかったな?…」