【保科宗四郎】副隊長は思ったより私のことが好きらしい【怪8】
第5章 ♡心も体も恋に堕ちて
いつの間にか自由になっていた手が所在なさげに空を切る。何かに掴まっていないと持って行かれそうな意識は、宗四郎くんが舌を動かすたびにバチバチと目の奥で火花を散らしている。何も考えられなくなるほどの悦に、この気持ちよさに堕落してしまう人の気持ちが少しだけわかったような気がした。
私の顔へと伸びてきた彼の腕へ縋るように抱きつくと、優しく手のひらで頬を撫でてくれら。がんばっとんな、とでも言うように。
「ひっ、あ、そうしろ、くん……!」
「あー無理。何でこんなかわええの? 今まで誰にも喰われんだの奇跡やろ」
「気持ちぃ……宗四郎くんのベロ、きもちいいっ」
「気持ちええとこ自分から言えたな、偉い偉い」
小さい子どもをあやすように私の頭を撫でてくれる宗四郎くんの手の暖かさは、溶けてしまいそうなくらい心地いい。すり、と彼の手へ無意識に顔を寄せると、頭だけでなく頬や首筋を撫でてくれる。
ふにふにと私の唇を自身の親指で弄んでいた宗四郎くんは、にこぉとその顔に笑みを浮かべると「ご褒美あげやんとな」と言って私のぬるつく肉芽をぐりぐりと押し潰してきた。
これがご褒美なんだとしたら、私には過ぎたご褒美だと思う。弓なりに背中を反らせて喘ぎ声しか話せなくなった私は視線だけで宗四郎くんへ懇願する。もう無理だ、と。
「ぁあ! …お、っあ、そこぉ……!」
「太もも震えとる。もうイキそ?」
「わかっ、な……んあッ」
「せやな、わからんな」
「あ"! 待っ、だめ! だめだめだめ、もう──ッんん!」
一際大きく体が跳ねると同時に暴力的なまでの気持ち良さが私を襲う。その快感を逃がすこともできず、呼吸も忘れてしまうほど一身に受ける。目の前はチカチカするし、頭は霞がかったように真っ白で、何も考えられなくなっていた。
一拍置いて悦楽から戻ってきた私の体はくたりと脱力し、気怠さを帯びた体と意識がシーツへと沈んでゆく。「は……」「あ……」と未だ空ろな私の横に寄り添うように寝転んだ宗四郎くんは、私のおでこにくっついた前髪を払いながら労るように口付けをくれる。
視線だけでその姿を捉えると、キスで返してくれる宗四郎くんの甘さについ酔いしれてしまう。度数が高くてもつい飲みすぎちゃう、甘いカクテルのよう。