第2章 最終選別(さいしゅうせんべつ)
出掛けの(出立する)際、耀哉に引き止められた
見送りでのことで
耀哉「良かった、間に合った!」はあっはあっ
そう息を切らしながら歩み寄ってきた
今にも倒れそうな足取りで…
思わず駆け寄り右手で支える中、その右腕に縋るようにして体制と息を整え、一息にこう言った
耀哉「藤の香(こう)を込めたお守りです
手縫いですが、必ず生きて帰ってこれるようにと心より祈り、一針一針丁寧に縫いました
きっと…
きっと!」
恵土「頷く)ああ
必ず帰ってくる」微笑
耀哉「ぱあっ!)//
はい!」力強く頷く
そうして満面の笑みを互いに浮かべ、笑い合って手を結び、繋ぎ合い、手を振って去っていった
最後に、約束の指切りを交わして…
最早神社仏閣の本場の物(お守り)を思わせる造りに、何度見ても関心を覚える出来栄えのものだった
強い力をひしひしと感じるほどに
見れば見るほど、そう強く感じさせられた
そのやり取りを思い出しながら、静かに刀(柄)を手に掛けた
いつでも引き抜き、応戦できるように…
その時は、静かに訪れた
襲い掛かってくるもののみ斬り刻み、一瞬の内に斬り捨てていった
中でも一番のでかぶつは怯えたかのように引き籠っており、大木ごとがたがたと頭を抱えて怯えたように震え続けている有り様だった
戦意を無くした者に用は無いとばかりに、目もくれずに襲い掛かってくる鬼だけを打ち倒していく内、次第に襲撃の手は止み、寧ろ鬼自身が自ら私から距離を取ろう、置こうとするようになった
次第に人が集まってきて、手分けして生き残ろうとする姿勢が整い出し、私を中心にして各々身を守るように、互いに守り合えるように体制を作り出した
「山には詳しいのでお任せ下さい」
「お強いのですね」
鬼達を斬り捨てていった後、ようやっと鬼の寄らぬ場へ、つまり私の元へと辿り着いたのだという
人を食い物としか見ない鬼達、食べる目的で襲ってくる鬼達にのみ対し、難無く瞬時に斬り捨てていく姿を見ていたのだという
一番鬼が少なく、安全な場がここしかない為、申し訳ないとも頭を下げられた
私より十も年上の人がひしめいている中で、肩身が狭い思いをした
そのまま時は流れ、食い物や水に困ることも無く、あっという間に七日間が過ぎ去っていった
その後…夜明けと共に、合格を言い渡された
