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化身来華【鬼滅の刃】

第1章 始まり(はじまり)





ばあんっ!!

人が集まっている集会場にて、宴会が行われていた
そこに男が駆け付け、戸を荒々しく開けるや否や開口一番に言い放った


「お?」
「なんだなんだ?」
先程まで外にまで聞こえていた賑やかな笑い声は消え
突然の大きな音と息を切らした様子に、訝し気に目を集められる

つい先程まで雪かきをしていた男は口を開いた


「はあっ!はあっ!!
大変だ!!龍神が!!黒い龍神が!!!
田中の家んとこに舞い降りて飛び込んでった!!!!」

「お前酒でも飲んでたんじゃねえか?」
「飲んでねえよ!!
確かに俺はこ(自分)の目で見たんだ!」

「夜時分に見たってこたあ」
とくとくとく
酒を自らで次ぐ音が静かに響く

「狐にでも化かされたんじゃね?」お猪口で指差す
「言えてる!」指差し返す(別の人)
『はっはっはっはっはっ^^』

赤ら顔ですっかり出来上がった男達は
そう口々に言うや笑い声を上げ、何事も無かったかのように宴へ戻った

酒の肴にそれぞれの家庭の愚痴を各々に零し、打って変わらず談笑を続けるそれに…


「そうか…狐に化かされたのか?」

腕組みをし、首を傾げながら
次第にそんなことは忘れ去られて行った……


それは五月下旬での話だった


「そういや田中の家って云やあ、子が流れたんだってなあ
三月だったか?」

「二月だよ」

「あそこの亭主の怒鳴り声、酷かったからなあ
奥さん、今も泣いていたとか」

「女子(おなご)だったんだろう?
可哀想に」

「大方あの乱暴亭主の横暴に耐え兼ねて流れちまったんだろうさ」
「しーっ!!
あいつが来たらどうすんだ!!」
「おっと」

「何の為に呼ばなかったと思ってるんだよ」
噂をすれば影が差すと言うだろう
と口酸っぱく言い、男は謝罪した

それを皮切りに、話は明るい方へと転じていった

うちの子がわんぱくで困ってる等という些細なことから、嫁の尻に敷かれて重いだのといったことまで


「身も愛情も重くてなあ」しみじみ
「あ……」
「げ…」硬直
瞑目し、お猪口片手に赤らんだ顔で語る男性
その背後を見て他の男達は硬直した

「誰の体重が重いって?
愛もどっちも重くて悪かったねええええ!!!!?・・」ギラーン!!!!!
「ひいっ!!?;」

帰りが遅くて心配したにも関わらず
集会場で駄弁るそれに怒りが爆発するその男性の妻だった


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