第18章 夏祭り(なつまつり)
17時
各々浴衣に着替え、気の赴くままに回ってゆく
しのぶの浴衣姿を見た折、速攻で抱き締め前髪にキスを落とした
しのぶ「ふふふっ^^//」
恵土「^^//
綺麗だ//」微笑
しのぶ「…//(微笑)
ありがとうございます^^//」
そのまま数秒ほど抱き締め合い…そっと離れ、歩みを共にした
水の流れる音が、里全体を繋ぐ用水路から響き渡る
まだ日は昇っており、夕暮れまでまだ時間が掛かることが予期された
うっすらと太陽に雲が掛かり、眩しさを軽減していた
用水路の直ぐ側には草が生えており、風により音を立てている
そんな風流な空間を、しのぶも皆も気に入っていた
皆と一緒に作り上げてきた
7歳から23歳まで、16年もの歳月を掛けて……
美味しいものも、いいものも…全国各地のどこにも負けないぐらいのものを作れるように、皆へ与えられるようにと……
下駄を鳴らし、整地された側道を歩いてゆく中で
子供らが笑い声を上げながら走ってゆく
祭り囃子が聞こえてくる
太鼓や笛の音が耳を差し、楽しそうな声が笑い声と共に聞こえ出す
蝉の鳴き声を掻き消すほどのそれに、自然と歩みが速くなるのを感じた
恵土「大丈夫か?
ごめんな、少し気も足も早まってしまった;」
しのぶ「ふふっ
大丈夫ですよ(微笑)
私も気持ちは同じなので^^」
恵土「これが終わったら…すぐ任務に出立だな」
しのぶ「ええ…
恐らくは…最後の余暇になるでしょうね…
お館様もそう言っていましたし」表情を強張らせる
恵土「……(真剣な表情で顎に手を当てて考え込む)
…(よし!」すっ←しのぶの前で僅かに屈む
しのぶ「え?ししょ
ちゅっ
その口を塞いだ
しのぶ「!!?///
!!?///
!!!!?///」ぼおんっ!!!!
恵土「折角の休みなんだ
楽しもうぜ!^^」後ろ頭で手を組む
しのぶ「……
(くす)
はい//」微笑
緊張を解そうとしてくれたのが、伝わってきた
痛いほどに…
当時……
お館様から、柱の皆へ伝達されていた
甲の位の者達(無一郎、実弥、匡近)にも……
活発化していた鬼が鳴りを潜めつつある
裏で何かが動いている
恐らく無惨が…
最終局面が近付いていると見ていい
各々…慎重に、心して動くように
と………
それが却って、警戒を呼んでいた…