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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第7章 「残るのは、君だけ」


破れたジャージの隙間から、淡い色の下着がのぞいている。
口元は、薄く血が滲んでいた。
全身が小刻みに震えているのが、はっきりわかる。


震えが、波紋のようにの奥へと広がっている。
助けを求めることすらためらうような、不安と恐怖が絡み合い、かすかに光を濁らせていた。


胸の奥が、きゅうと締めつけられた。
理由はわからない。
ただ、この震えをこれ以上深く刻ませたくない――その思いだけが、強く残った。



「……ごめん。遅くなった」



低く、押し殺した声。
五条はそっと自分の制服の上着を脱ぎ、の肩に掛けた。
布地の温もりが、まだ震えの残る体をやわらかく包む。


続けて、その冷え切った手を両手で包み込むように握った。
指先は氷のように冷たく、握ったまま離さない。



「……どうして、ここが……?」



震える声で問うに、五条は口角をわずかに上げる。



「が、約束守ってくれたからだよ」

「……え?」

「呪具、肌身離さず持っててくれたろ? 呪具の呪力から場所が特定できた」



軽く息を吐き、五条は小さく肩をすくめる。



「……高専から出ないっていう約束は、守れなかったみたいだけどね」

「……ごめんなさい」



俯いたの頭に、五条は手を置き、髪をやわらかく撫でる。
そのまま手を滑らせ、口元へ指先を移した。



「……痛い?」



低く穏やかな声が、まだ張り詰めた空気の中に落ちた。


その一瞬、の胸に冷たいものが広がる。
――あの男に無理やり塞がれた口の感触、血の味。
そして、自分の中に残った、どうしようもない“汚れ”の感覚。
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