第18章 初めての買い物
一方の理世は嬉しそうにカードを握りしめて店に向かう。門構えはそれこそかわいらしいものの、ショーウィンドウにはメイド服やら花魁風やらの服が並んでいた。
「…よし…!」
意を決して中に入る理世。
「いらっしゃいませぇ」
「…あ、」
かわいらしい女性が二人、彼女たちもまたかわいらしいコスプレをしていた。
「何かお探しですかぁ?」
「…えと、初めてで…」
「はぁい!大丈夫ですよ!それで?」
「えと、彼…?に喜んでもらいたいなって…思って…いつもとなんか違う感じの…」
「なるほどですぅ!ちなみにぃ、彼氏さんってどんな方ですぅ?」
「…えと…」
彼氏じゃないんだけど…という突込みはあえてせず、そうだな…と考えていた。
「とにかく女性好きで…イケメンで…それから…」
「エッチ、優しいですぅ?」
「…あ、…その…」
照れてしまってうまく応えれない理世だったものの、店員はふふっと笑って『わかりましたぁ!』と答えた。
「…例えばぁ、この花魁ちゃん!お姉さんの場合だとかわいい感じだから、黒のしっぽり系?もしくはカフェメイドちゃんとか?」
「え、あ、そう…?」
「んっ!ちなみにぃ、お姉さんだと…私はこっちのがおすすめかなぁ?」
そう言って黒に大きめの白い花の描かれたミニ丈の花魁セットを出された。
「…これって…その…変なこと聞きますけど…」
「なぁにぃ?」
「その…下着とかって…どうしたら…」
「つけてもいいんだけど、ブラとかはないほうがえっちぃかな?それに下はこれ、セットになってるし!」
そう言ってぴらっと見せた。そこには紐か?と言わんばかりのTバックショーツ。
「…な、るほど…」
「それに、ゆかたっぽいでしょ?」
「た、しかに…」
「帯もねぇ、ちゃぁんと自分で結ぶのぉ!」
そうしてふわっと体に当てられた。
「…短い…」
「そりゃ、そういう時のためのガウンだもん」
「……そうですよね…」
値札を見れば思いの外高くない。
「…コレ、ください」
そうして初めてとなるコスプレ衣装の買い物を済ませたのだった。