第12章 愛撫の代償
「理世…どこ行っちゃったんだ?」
「…わかりませんねぇ…少なくともその食事は食べれそうにないかもしれないので…」
「…そっか…」
「悟空、食べますか?」
「・・ううん、これは理世の分だろ…俺は食わない」
「…そうですか…いったん部屋に戻りましょうか?」
「そうだな…」
心配そうに眉を下げて部屋に入る悟空を見て、八戒は小さくため息を吐きながら三蔵の部屋に向かっていった。
「…失礼します。」
「…なんだ」
「理世なんですが…部屋にもいないのか、ノックをしても出てこないのですが…」
「隣の奴の部屋は」
「確認しました。それでもいません。」
「…ハァ…わかった。」
「分かったって…あてがあるんですか?」
「ない」
「…ないって……どうするんですか」
「ガキじゃねぇんだ。放っておけ…」
「放っておけって…大丈夫でしょうか」
「…さぁな」
そうしてまた後で少し様子見に行きます…といった八戒は三蔵の部屋を後にしていく。
「…たく…世話かけやがって…」
一言呟けば三蔵はため息交じりに部屋を後にしてフロントに向かっていく。
「すまない。連れが借りている部屋なんだが…」
「はい、どうかされましたか?」
「不在ではないと思うのだが部屋から音沙汰がないと連絡をもらったもので、中を確認したいのだが…」
「かしこまりました。中に入られることはお連れ様はご存じでしょうか?」
「連絡がつかんから入りたい。」
「…かしこまりました。一応わたくしも同席、という形でもよろしいでしょうか?」
「構わん。」
そうしてフロントスタッフが一名同席の中、203号室の理世の部屋に向かっていくのだった。