第11章 心、狂わせて…
翌朝、いつもより少し早く目を覚ました理世。ふかっとしたベッドが少しばかり狭く感じたからだろうか…まだしっかりと開かない瞼を持ち上げてみるものの、まだしっかりと意識は起きていなかった。
「…これ…」
自身の体を包み込むようにして伸びている腕にそっと触れる理世。そのまま体の向きを変えて転がれば、きれいな寝顔があった。
「…ごじょ…ぉ」
そう名前を呼ぶものの、相手はまだ夢の中、といったところだろう。反応は全くない。するりと悟浄の頬を撫でる理世。
「フフ…かわいい寝顔…」
少しだけ上体を上に直せば不思議と相手と視線が同じになる。唇をそっと指でなぞればドキドキと胸は少なからず躍ってくる。
「…(少しだけなら…起きないよね…)」
そう自問自答にも似た事を問いかけてゆっくりと唇を重ねる理世。そのまま重なるだけのキスをしたものの、少し味見をすればもう少し…となるのが常になっている。
「…悟浄のが移ったかな…」
『あと一回だけ…』そう自身の心に言い聞かせてそっと顔を近づける理世だったものの、次の瞬間、立場は逆転した。
「…ごじょ…?」
「二度目はねぇよ?」
「…二度って…起きてたの?」
「そりゃ、あれだけ触られりゃな?」
「…だったら起きてくれたらよかったのに…」
「だぁって、理世が嬉しいコトしてくれるからよ」
「…そんな…コト…」
「んで、二回目しようとしたから?」
ゆっくりと顔を近づけて今度は悟浄からキスを落とす。
「…おはよ」
「…お、はよう…」
「照れてんの?」
「…ッッだって…」
「そういや、昨日寝るときに言ってた事、なんだった?」
「昨日?」
「明日起きたらって…」
「…忘れちゃった」
「あっそ」
そういえば舌先を出しながらぺろりと唇を舐め、舌を出させる悟浄。