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緋色の愛で抱いて【最遊記悟浄夢】

第40章 不安な日々…


その…手のぬくもりに…今まで我慢していた涙が堰を切ったように止まらなく溢れてくる…
ずっと…どうにか止めていなければ…そう思っていた涙が…どんどん言葉と一緒にあふれて止まらなくて…

「…怖かった…今でも怖い…」
「あぁ」
「真っ暗な闇に放り出されて…名前を呼びたいのに…追いかけたいのに…全然届かなくて…」
「あぁ…」
「手を伸ばしたのに…全然…届かなくて…いつの間にか声も、聞こえなくなって…怖くて…」
「あぁ」
「…ごめ…こんな…弱音ばっかり…」
「…大丈夫だ…問題は無い…」
「生きててほしいのに…それを願うしかできなくて…もどかしくて…もし仮に一緒に行ってたらそれこそ足手まといなのに…元気か…食べれてるか…何より…今…生きてるのか…それだけがずっと頭の中ぐるぐるしてて…」

波珊にさらけ出していた…全部の想いを…悟浄に対して…三蔵に対して…皆の事…それだけなのに…吐き出せなかった昨日までと比べてはかなり心が軽くなっていた。

「…ごめんね…波珊…」
「大丈夫だ。問題ない」
「でも…重たくない?」
「重たいとかそういうのは思わない。気にしなくていい」

そう言えばベッドの脇からゆっくりと立ち上がっていく。

「とにかく今日は少なくとも休め。しっかり食って、しっかり寝ろ。いいな?」
「でも…」
「返事は?」
「…・・はい」
「言ったな?」
「…ん」

そういえばニッと笑って波珊は部屋を後にしていった。

部屋を出ればそこには沙烙が待っていた。

「嫌な役やらせたな…」
「お互い様だろ」
「…とにかく休ませる。」
「あぁ。それがいい…」

そう短く会話をして二人はそれぞれ、手助けの持ち場に戻っていくのだった。
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