第39章 お使い、そして…
そう柄にもなく泣いている私を沙烙は、ゆっくりと抱きしめた。
「…悪かった…もう泣くな…」
「…ッ…泣いてない…」
「泣いてるだろうが…」
「…ッッ」
「とはいえ、だ。私は玄奘と、そして誰よりもお前の思い人と約束をした。安全だと…私が死ぬまではここは守られていると…だから…なおさらに死ぬわけにはいかない。」
「…ッッ」
「この村の者たちの為にも…私が死ぬわけにはいかない…ただ…何に変えても…」
「…沙烙…」
「沙烙様…」
ポンポンと頭をなでる沙烙はゆっくりと…でも確かにフッと笑った…
「…にしても本当に無鉄砲だな…」
「うるさい…」
「威勢のいい事。」
「…何人…」
「ん?」
「何人死んだの…?」
「解らない…ただ、1/3は…見ての通り死んでる…」
「…ッッ」
「女子供は村の奥に避難をさせてる…ただ…男勢がな…」
「…恒天部隊は…?」
「犠牲はつきものだ…」
「…そんなに強い相手だったの…?」
「…哪吒太子…」
「なたく…?」
聞いたことない…三蔵からはもちろん、街の人とか…
そんな名前…誰からも聞いたことがなくて…
「なたく…って…どんな人なの?」
「人というか…闘神だ…」
「闘神って…何?」
「戦うためだけに生み出された、殺人マシン…と聞いている…」
「…マシンって…人じゃないの?」
「人、というのだろうか…まぁ見た目的には一緒に居ただろう、孫悟空とほぼ同じだ」
…・・うそ…悟空と同じって…
その一人だけで…?ここまで…
「…その哪吒一人で…?」
「式紙がいた。とはいえ、それも哪吒太子の力だ…」
もう次元が違い過ぎる話だった。