第23章 葛藤と嫉妬
「それじゃぁ、お二人はどうしますか?」
「どうって…?」
「僕と悟空は少し街を見ていきますが…」
「んー、どうするね」
「俺は先に戻る」
「分かりました。」
「…どうする?」
「そうだなぁ…」
しかしとりあえずは散歩でもすっか?となり、それぞれ三方向に歩き出した。
「…悟浄…」
「ん?」
「・・・」
「なんだよ」
「…手、つないでいい?」
「クス…ほらよ」
そうして大きな手に包まれながらも嬉しそうに指を絡めていく理世。
「…そういやよ?」
「ん?何?」
「今まで特定の誰かと付き合ったことってあんの?」
「…失礼極まりないわね…」
「だってよ…?」
「……残念ながら!いませんよ」
「残念、か」
「こっちで合流するまでは…」
そこまで言いかけて理世はふと記憶をたどる。しかしいまいちあやふやになっていく。
「…どうした?」
「私、こっちに来るまでって…何してたっけ…」
「…んぁ?」
うあんな表情を浮かべながらも理世は少し前の記憶をたどっていく。しかし思い出されるのはジープの上で四人と会った時からの記憶がはっきりしているだけでそれ以前の記憶が不鮮明になっていると言う事…
「…理世?」
「…ごめ、なんでもない」
「なんでもねぇことねぇだろ」
近くにある広場に入り、ベンチに腰掛ける二人。悟浄はそのまま理世に話しかけた。
「…こっちに来たときは社畜がどうとか言ってたろ」
「あ、うん、そうだ…ずっと仕事してて…」
「だろ?とか言っても俺らと初めて会った時からの記憶はあんだろ?」
「それはもちろん」
「…なら何の問題もねぇよ。だろ?」
「…ん」
知れでも俯いている理世の肩をそっと抱き寄せた悟浄。その優しさにただ身をゆだねた。