第6章 私の旦那様✿保科宗四郎✿裏
仕事を終わらせてこれから立川基地へ行かなければいけないのだが、とても足取りが重い…。
もし忘れられていたら?
恋人がいてもいい、離婚しようと言われてもいい。
だけど、忘れられているのだけは嫌だ。嫌われていても嫌だ。
一度しか会っていないのに、私はなんて我儘なんだろう。
とりあえず、立川基地に連絡を入れよう…。
連絡をするとどうやら彼は基地にいるようで、今から来てもいいということだった。
「うぅ…緊張する…。」
基地が見えてきて、お腹が痛くなる程緊張している。
基地の目の前でたまたま防衛隊員の方を見つけ声をかけると、すぐに通してくれた。
見た目はちょっと怖かったけど優しい方だ。
副隊長室へ案内してくれている。
お名前は古橋伊春くんというようで、歳は私とあまり変わらなそうだ。
副隊長室に入るとじゃあな!と言って出ていこうとするので、慌ててお礼を言った。
「あー…君が美影ちゃん?ごめんなぁ、僕覚えてへんくて…。」
覚えてないなんて当然だ、一度しか会っていないのだから。
私はよくお義母さんたちから写真をもらっていたので、今どんなお顔なのかもよく知っている。
たぶん彼は私の写真を見ていないんだろう。
「いえ!一度しか会っていないので…。」
「いやでも…僕の奥さんやん?気にする思て…。」
宗四郎様も優しい方なんだなぁ。
大丈夫ですと答えると今日は何のようでここに?と聞かれたので、恋人がいるのか聞いてみる。
「え?いーひんよ?結婚してるんやし、恋人なんて作らん。」
「そうなんですか…?記事になっていたのでいるのかと……あ、私のことは気にしないでください!書類の上だけの関係なので!」
忘れられていたのには少しショックを受けたが、すごく優しく接してくれるので少し胸が温かくなる。