第18章 人生の転機
「……」
心当たりが沢山ある。
彼女が自分たちの何もかもを受け入れるのは
忌まわしい過去が生み出した遺物なのだと
自分のこれまでの所業に腹が立ってくる。
「フッ……
その顔…お前も心当たりがあるんだな…
他の3人も同じような顔してたぜ。」
そう社長に言われ、
ドキッとするレン。
「あ、いえ………はい……」
「だが、全員つまらなくなるんだ。
なんでも受け入れて、合わせて
何してもいいよ
なんていう女。」
声のトーンを下げてこう言われて
自分のことを言われているような気分になる。
「………」
**
ーーー……
”「他に好きな人ができた」”
”「…そうなんだ^^」”
”「こんな時まで笑顔かよ…
空っぽなお前といても
つまんねーから、じゃあな。」”
”「……うん…」”
ーーー……
あいつは大抵こんな感じでフラれるんだ。
”なんで女優になったか”
”なんでそんなに家庭的なのか”
”両親は何をしている人なのか”
あいつの深いところを探ろうとすると
上手くはぐらかされるんだから、
深みのない女に見えちまうんだろう。
□□自身、
自分の過去をさらけ出せないことが
愛されない理由に繋がってることに
気づいていないしな。
………
そしてここから第3章だ。
奴が愛だの恋だの言いながら
仕事をしている合間にも
ファンはどんどん増えていった。
ある雑誌の表紙に抜擢され、
全国的に認知されるほどの結果を残した時には
ファンの数が急上昇した。
そんなとき…あの事件が起きる。
俺は菱と□□がコソコソやっていると
他のスタッフから聞いて、
俺が適当な理由で菱を呼び出して話している間に
やつのデスクを探るようにスタッフに指示した。
そこで、ストーカー被害に
遭っていることに気づいたんだ。
だがもう遅かった。
菱を呼び出している間に
事件は起きちまってた。
……あとはお前も知っての通りだ。
**
「……」
彼女の過去、
菱から聞いた事件の話、
鳳瑛一からの煽り文句、
トキヤからの言葉。
全ての情報が
まるでパズルのピースがはまっていくように
繋がっていく。
そして、その頃には
レンの彼女への気持ちは
固まりつつあった。
「……まぁ…もう少し続きはあるが、
それは□□の口から聞け。」