第9章 いぇ~い、王太子殿下見ってる~?
―――やったわ、私やったわ!!もう何も怖くない!!
家に帰り汚れた体を清めてベッドに横になりバタバタ転がり回る。
明日はどうなるのかしら。
もう何もかもどうでも良い。
だって私が欲しかったのはマクシミリアン様の御心だけ―――。
こんなに焦がれて欲して、その為に二年間を捧げ、これからも殿下に私の心を体を、人生の全てを差し出すつもりだったのに。
ポロポロ涙が出た。
何を間違ったのかしら私。
前世の私だって、決して恋人を軽んじた訳じゃないわ。
毎日一緒の家に帰って、一緒にお話をしながらご飯を食べて、偶には一緒にお風呂に入って、あの子にしか聞かせない秘め事の時の声―――私なりに尽くしていたのよ。
確かに仕事でお客様にちょっと色恋はしたし、アフターとか同伴とか休みの日にお出かけとかしたわよ。
でもそれだってみんなお金の為よ―――。
お店にだって来なくて良いよって言ったじゃない。
私達どうしたら愛する人に愛して貰えたのかしら。
―――もう、考えたって遅いんだわ。
賽は投げられる。
後はその出目に従うだけ―――。
私は布団に潜り込み瞼を閉じた。
もう涙は出ない。